子どもの頃、テレビの前でじっと座り、「ぼうけんのしょ」を開く瞬間がたまらなく好きでした。
画面には青い空、流れる音楽、そして「おきのどくですが…」の文字。
ドラクエの世界は、まるで自分自身が勇者になったような気持ちにさせてくれました。
初めて「スライム」と出会った時の興奮。
街の人に話しかけるだけで物語が動き出すワクワク感。
仲間と出会い、成長し、強敵を倒す——
シンプルだけど、どこまでも深い物語がそこにありました。
当時はインターネットも攻略サイトもなく、
友達同士で「この洞窟の奥に宝があるらしい!」と情報を交換したり、
「メタルスライム倒せた!」と自慢し合ったりしたものです。
そんな日々が、今でも心の宝箱の中に残っています。
今のドラクエは美しいグラフィックやオンラインの世界へと進化しました。
けれど、あの“最初の一歩”を踏み出した時の感動は、何年たっても色あせません。
時々、あのファミコンの冒険をもう一度やり直したくなるんです。
きっと、誰の中にも“最初に勇者になった記憶”があるから。
